2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経系の仕組みを考慮した訓練を要さないパワーアシスト装置・義手
Project/Area Number |
09J08906
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川瀬 利弘 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パワーアシスト / 筋電図 / 関節スティフネス / 平衡位置 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本年度は,これまで構築したパワーアシスト手法の有効性の検証を行った.この手法では,手首の筋電信号から関節平衡位置と関節スティフネスをリアルタイムに推定し,関節スティフネスを仮想的に増やすよう装具を制御することでアシストを行う.生理学的に妥当性が検証されたモデルを用いていることと,関節平衡位置の推定精度を上げるために最適化における評価関数を改良していることが特徴である.これまでは水平面内の姿勢維持中のみについて検証していたが,これに加え,より実際の使用環境に近い,精度を要求されるタスク(peg-in-hole)や矢状面内での姿勢維持,物体支持の間における効果を検証した.その結果,開発した手法が,関節平衡位置の推定精度の改良を行わない場合よりも安定したタスク遂行ができることを示した.また,この装置を手首以外の関節にも適用できるようにするため,複数の関節に対するアシストを行えるプログラムの作成を行った.さらに,より正確な制御を行うため,アクチュエータとして使用している超音波モータの特性に関する調査・測定を行った.現在,神経科学の知見を応用する試みの一つとして,生体内で神経の信号に加わるノイズ(signal-dependent noise)の統計的性質を考慮し,推定精度の向上及びキャリブレーションに要する時間を低減することを試みている.本研究で作成したプログラム及び装置の一部は,病院での臨床研究でも使用される予定で,本研究に関連する知見が得られることが期待される.
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