2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経系の仕組みを考慮した訓練を要さないパワーアシスト装置・義手
Project/Area Number |
09J08906
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川瀬 利弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パワーアシスト / 筋電図 / 関節スティフネス / 平衡位置 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本年度は、筋電信号からの運動情報推定を用いたリハビリテーション用装置に関し、以下のように研究を進めた。1.前年度までの成果と、提案したアシスト手法に関する新たな考察をまとめ、原著論文として発表した。新たな考察では、筋電信号から平衡位置とスティフネスを推定しスティフネスを仮想的に増やすアシスト手法に関し、アシスト中の平衡位置が使用者の筋骨格系の平衡位置に十分近くなることを数式的に示した。これは、使用者がこの装置を随意的に動かせることを、これまでより明確に裏付けるものである。2.開発したアシスト装置が、使用者と環境が相互作用するときにおいてどのように働くかを、力覚提示機能を備えた仮想現実環境で仮想のボールを受け取るタスクによって調べた。実験の結果、従来型のアシスト手法では、使用者の予測的な運動制御が変化してしまったのに対し、本研究で提案した手法ではこのような予測的制御が正しく働き、数回のトライアルを経て安定した受け取り動作ができるようになった。3.本研究のアシスト手法を多関節・多自由度の動作に対応させることを目的とし、多自由度の運動を表現できる筋骨格モデルを構成した。そしてこのモデルから得られた平衡位置推定モデルを、肩・肘の動作におけるデータにフィッティングさせた。その結果、狭い角度範囲ではモデルは実際の運動を表現できるが、広い角度範囲のデータに対して当てはめるためには、筋のモーメントアームの関節角度依存性を表現する必要があることが示唆された。4.本研究の提案手法をリハビリテーション用途に使用することを目指し、脊髄損傷患者の筋電信号から平衡位置を推定する試みを行った。その結果、提案手法をそのまま適用するためには筋骨格モデルの改良が必要だが、ニューラルネットを用いた推定の結果から、患者の筋電信号に運動を再現するために必要な情報が含まれていることが示唆された。
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