2010 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスに基づく脳の性分化メカニズムの解明
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09J08918
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 隆 京都府立医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストンアセチル化 / 免疫クロマチン沈降法(ChIP) / 雄性行動観察 / PTSD / DNAメチル化 / Single prolonged stress (SPS) / コルチコトロピン放出ホルモン(CRH) |
Research Abstract |
1)臨界期の脳におけるエピジェネティクス変化について 21年度実験において臨界期性分化機構に関与深いエストロゲン受容体αおよびアロマターゼの遺伝子プロモーターのアセチル化状態をChIPにて調査した。胎生21日に雄は雌より高アセチル化状態にあったが生後3日目で逆転した。22年度は、この臨界期のアセチル化状態の性特異的変化を受けて成体における性特異的行動が発現されるか調査した(別実験者が担当)。臨界期雄ラットにヒストン脱アセチル化酵素であるTSAを脳室内投与し、成体における雄性行動を観察したところ挿入率の低下他マウント行動や射精の潜時が有意に増大し、性差形成におけるエピジェネティクス変化の重要性が行動レベルでも示された。 2)エピジェネティクスに基づく外傷後ストレス障害(PTSD)の病態解明 22年度より開始した本実験ではPTSDの動物モデルであるSPSラットを使用し、脳内のストレス関連因子の発現解析を行ってきた。海馬におけるグルココルチコイド受容体の発現変化は認められなかった。ストレス反応の要となるHPA軸においても、CRHの発現変化は捉えられなかったが、恐怖不安反応に関与する扁桃体領域においてCRHの発現上昇を示唆する結果を、定量的real time PCR法、酵素抗体法による組織染色およびimage J画像解析より得た。現在ELISA法により定量解析中で、観察された発現変化がエピジェネティクス変化(DNAメチル化)に起因するか、ChIPおよびバイサルファイトシークエンス法により検討する。また、SPSラット扁桃体へのCRHアンタゴニスト局所投与を行い、恐怖条件付け試験によりPTSD病症におけるCRH発現変化の重大性を行動レベルでも評価したい。
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