2011 Fiscal Year Annual Research Report
子どもたちにとっての児童養護施設―住まう場という観点から
Project/Area Number |
09J08924
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
大塚 類 宮城教育大学, 教育学部, 特別研究員PD
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Keywords | 児童養護施設 / ハイデガー / 現象学 / 住まいの場 / 小学校 |
Research Abstract |
平成21年度から22年度にかけての研究成果を大幅に加筆修正した論文が、2011年11月に、『家族と暮らせない子どもたち-児童福祉施設からの再出発』(中田基昭編著、大塚類・遠藤野ゆり著)として新曜社から刊行された。筆者は、子どもたちが自分の道具を介して施設を自分の住まう場としていく様子について描いた、「施設を自分の居場所にする」(第一章)と、グループワークで暮らす少女たちの人間関係の困難さについて描いた、「他者と共に暮らす」(第二章)を担当した。 平成23年度も、事例の収集および考察と、理論的背景の充実に努めた。施設の現場での週に1回のフィールドワークを継続し、「子どもたちが施設や学校を居場所とできるための学習支援」をテーマとして、2名の子ども(いずれも中学生)の学習支援と、施設職員や学習ボランティアへのインタビュー調査を行なった。この実践からは、子どもたちの学力と自己肯定感が密接に関連していること、学習支援は小学校の低学年時期からはじめる必要性があることなどが明らかとなった。こうした研究成果の一部が、学会発表「困難を抱える子どもたちの生徒指導上の課題とその克服」である。 さらに平成23年度からは、施設を地域に抱える公立小学校と、養育基盤の脆い家庭が多く存在する地域にある公立小学校という、子どもたちの第二の「住まう場」でも継続的なフィールドワークを開始した。子どもたちと関わるなかで、児童養護施設で暮らす子どもも、養育基盤の脆い家庭で暮らす子どもも、同様に自己肯定感が低く、学習意欲が低いために低学力で、対人関係など社会性に困難を抱えていることが浮き彫りとなった。この知見を基に、「子どもたちの多様性を保障する学級集団づくり」、「特別活動を通した道徳の涵養」、「子どもがいきいきとする学級集団活動についての事例研究」という、3本の論文を執筆した。
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Research Products
(7 results)