2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J08932
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
堺 裕輔 公立大学法人 北九州市立大学, 国際環境工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ES細胞 / 胚様体 / 分化誘導 / 細胞チップ |
Research Abstract |
本研究では、ES細胞・iPS細胞胚様体(EB)の大量形成を実現する新しいEB形成チップ技術を開発するとともに、形成されたEBの微小培養環境を制御することによって効率的な分化制御手法を確立する。 当該年度は、昨年度までに確立したマルチマイクロウェルチップを基本技術として、初期導入細胞数、EB粒径、EB間距離の違いがEBの分化特性(内胚葉、中胚葉、外胚葉への分化傾向)に及ぼす影響を評価した。得られた結果を以下に示す。 1.初期導入細胞数、EB粒径の影響 ウェル内への初期導入細胞数(100 cells/well、1000 cells/well、10000 cells/well)が少ないほど形成するEBは小さいが、細胞の増殖率は大きく、培養経過に伴いいずれも同等のサイズに制御された。さらに、100 cells/wellの場合には中胚葉(血球・血管系)に、1000 cells/wellの場合には中・内胚葉(心筋系・肝臓系)への分化傾向に特徴が見られ、増殖率が高いほど分化が速く進行した。 2.EB間距離の影響 初期細胞数、EB数を一定(1000 cells/well、195 wells/chip)として、ウェル間距離の異なるチップ上で培養したところ、ウェル間距離が大きいほど細胞増殖してB粒径は大きくなり、分化が進行した。 本チップ技術は、工学的発想から微小培養環境を厳密制御して分化を制御するシンプルなアプローチであるが、これまでにあまり報告例はない。総じて、細胞の増殖速度を巧くコントロールすることが重要であると思われる。本技術の確立によって、既存の技術では困難であったEBサイズの任意制御と簡便な大量形成・回収を実現しており、幹細胞培養及び分化誘導のための新しいプラットフォームとなり得ることが期待できる。
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Research Products
(4 results)