2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマノイドロボット用の柔軟性・粘弾性を持つアクチュエータの開発と制御
Project/Area Number |
09J08937
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福正 博之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 運動制御 / 伸縮運動 / 二関節筋 / ヒトに学ぶ / ヒューマノイド |
Research Abstract |
医者や理学療法士および工学者の中で、生体の持つ筋肉と関節構造に着目した四肢の運動の解明が進められている。生体が持つ二関節筋は、隣り合う二つの筋肉にまたがり両関節を同時に駆動するものであり、生体は一つの関節を駆動する一関節筋と二関節筋を備えている。一方で、従来のロボットは各関節を独立に制御するため、常に関節角度情報を用いた複雑な計算で運動制御が行われている。 本研究は、この二関節筋の特徴を工学的に明らかにし、それを活かしたロボットの柔軟な運動制御の実現を目的としている。 はじめに、ヒトの身体的特徴と頻繁に行う運動に着目した理論解析を行うことで、一関節筋と二関節筋の協調的同時駆動が支点と先端を結ぶ方向に簡単かつ安定して力の発生に役立っていることを数学的に導いた。各筋肉の出力が関節を回転させるためのトルクの関係と、多用する支点と先端を結ぶ方向の力は、先行研究で測定された筋電位とヒトの先端出力の結果と一致した。先行研究などで重要と述べられてきた二関節筋は、ヒトの持つリンク長や関節半径が等しい身体的特徴と合わせて考慮することで多用する方向の力を非常に簡単に制御可能なことを理論的に明確化した。 また、先端が支点から真っ直ぐに伸縮運動をするときの運動特性を理論計算した。2リンクアームモデルを用いた計算により、肩関節の回転トルクは関節角度の高々二次関数で構成されるため、その非線形性が簡単であることを導いた。 そして、支点と先端を結ぶ方向の力を簡単に補償する伸縮運動制御システムを提案した。一関節・二関節の協調的同時駆動の概念により、ロボットの支点と先端を結ぶ軸に仮想的なバネとダンパを考慮し、パラメータを調整することで粘弾性を自在に設定できる。提案手法を製作した試験機に実装し、その有効性を確かめた。これにより、ヒトの身体的特徴と一関節・二関節の協調的同時駆動を考慮することで、多用する支点と先端を結ぶ方向への運動制御を簡単に実現できることを工学的に明らかにした。
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Research Products
(2 results)