2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規多機能性分子の開発を目指した多成分系自己集合型異種多核金属錯体の構築
Project/Area Number |
09J08958
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒田 陽子 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 自己集合 / 多孔性配位高分子 / 多孔性ソフト結晶 / 相互貫入型フレームワーク / メゾサイズ効果 / 溶媒吸着 / 双安定性結晶 / 構造変化 |
Research Abstract |
金属イオンと有機配位子から構成される多孔性配位高分子は、高い空隙率、規則性を有するため、新たな多孔性材料として注目を浴びており、これまでに、吸着剤、分離剤、触媒材料とした研究が幅広くされてきた。本研究では、ゲスト吸脱着に応じてその構造変化が起こるソフトな多孔性配位高分子の結晶子サイズを小さくすることで、結晶一粒あたりの格子数の減少および結晶表面効果の増大に伴い、マイクロメートルサイズのバルク結晶と大きく異なる現象を示すことを見いだした。 本研究では、柔軟な相互貫入型フレームワークの示す柔軟性のサイズ効果に着目し、一辺50ナノメートル以下のプレート状メゾサイズ結晶を得ることに成功した。このフレームワークはバルク結晶においては、ゲスト分子包接時に相互貫入した二つのフレームワークが開いた構造(open)をとり、ゲストを取り除くことで閉じた構造(close)に構造変化することが知られている。一方、本研究で得られたメゾサイズ結晶はゲストを取り除いてもopen構造を維持し、またこれを加熱することでclose構造が得られることが明らかとなった。さらにこれら、バルク結晶、メゾサイズ結晶(open)、メゾサイズ結晶(close)のメタノールの吸着挙動を追跡した。バルク結晶、メゾサイズ結晶(ciose)においては、ゲートオープン型の吸着等温線が、メゾサイズ結晶(open)においてはtype-1と呼ばれる飽和型の吸着等温線が得られた。上述した、メゾサイズ結晶の特異な相転移挙動を用いることで、メゾサイズ結晶(open)とメゾサイズ結晶(close)の吸着挙動を可逆的に制御することにも成功した。 本成果は、「多孔性のソフトな結晶の構造変化に伴うメソサイズ効果」を初めて見いだしたという面で、基礎科学的な観点から大変興味深い結果と言える。
|
Research Products
(1 results)