2009 Fiscal Year Annual Research Report
千島列島海域における乱流鉛直混合の直接観測と混合過程の解明
Project/Area Number |
09J08991
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 雅宏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 乱流鉛直混合 / 千島列島海域 / アリューシャン列島海域 / 潮汐 |
Research Abstract |
千島列島海域は、卓越した鉛直乱流混合の存在が示唆されている海域の一つであり、本海域での鉛直乱流混合が、水塊形成、亜寒帯循環、長期変動に対して影響を与えることが先行研究により示唆されている。これらの影響を解明するためには、本海域の乱流鉛直混合の発生メカニズム、及び時空間分布の解明が不可欠であった。これにあたって、乱流鉛直混合の直接観測結果と、それらを補う乱流強度の間接的見積もり結果を元にした信頼できる乱流データセットの作成が必要である。 基本観測データすら乏しい千島列島海域において、まず海水密度データ中にみられる密度逆転からGalbraith and Kelley(1996)の手法に基づいて乱流強度の間接的見積もりを行った。それらと直接観測値を詳細に比較することにより、本海域においてより正確な見積もりが可能な、新たな密度逆転を用いた間接的見積もり手法を提案した。また、得られつつある乱流データセットを元に、潮汐流と乱流鉛直混合の関係を調べたところ、潮汐流の鉛直構造と乱流強度に対応関係があることが示唆された。これらの結果を、Ocean Science Meeting 2010においてポスター発表を行った。 またアリューシャン列島海域は、千島列島海域と同様の乱流鉛直混合発生メカニズムが存在すると考えられる海域である。2009年にアリューシャン列島での乱流鉛直混合直接観測を含む様々な観測項目を行った。千島列島海域は、データ不足から乱流鉛直混合の実態解明が難しい部分もあったために、これらの観測により、千島列島とアリューシャン列島に共通する乱流鉛直混合発生メカニズムが明らかになることが期待された。アリューシャン列島中で主要な海峡の1つであるアムチトカ水道に焦点を当てて観測データの解析を行ったところ、密度面の急激な降下後の大きな乱流鉛直混合の発生が明らかとなった。これらの結果を、日本海洋学会2010年春季大会において口頭発表した。今後は、これらの結果と、千島列島海域での乱流鉛直混合の観測データを照らし合わせ、共通点や相違点を見つけ出すことにより、両海域での乱流鉛直混合発生メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(2 results)