2010 Fiscal Year Annual Research Report
千島列島海域における乱流鉛直混合の直接観測と混合過程の解明
Project/Area Number |
09J08991
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 雅宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 乱流鉛直混合 / 千島列島海域 / アリューシャン列島海域 / 潮汐 |
Research Abstract |
千島列島海域は、卓越した鉛直乱流混合の存在が示唆されている海域の一つであり、本海域での鉛直乱流混合が、水塊形成、亜寒帯循環、長期変動に対して影響を与えることが示唆されている。これらの解明には、本海域の乱流鉛直混合の発生メカニズム、及び時空間分布の解明が不可欠であった。そのためには、乱流鉛直混合の直接観測結果と、それらを補う乱流強度の間接的見積もり結果を元にした信頼できる乱流データセットが必要であり、前年度までの研究によりそれに値する乱流データセットを作成した。今年度は、これらの結果を元に千島列島海域中で最大かつ最深であるブッソル海峡の潮汐流と乱流鉛直混合の関係を調べた。その結果、潮汐流の鉛直構造と乱流強度に対応関係があることが示唆された。また50mスケールの不安定を表す指標の1つであるリチャードソン数と乱流強度の間に明確な対広関係があったことから、大きなスケールの流速構造が乱流強度へ影響を与えることが示唆された。 また千島列島海域のブッソル海峡と地形が似ており、日周潮汐の卓越しているアリューシャン列島海域のアムチトカ水道のデータに対して、同様の解析を行った。その結果、50mスケールのリチャードソン数と乱流強度の間にはゆるい関係性があったが、ブッソル海峡程明確では無かった。また海峡部の太平洋側で密度面の急激な降下の後に、強い乱流混合が生じており、これは現在のところ、ブッソル海峡では観測されていない現象である。これらの結果から、共通点の多いブッソル海峡とアムチトカ水道でも、強い乱流混合の発生メカニズムが異なる可能性が示唆された。この相違は、今後詳細に検討するつもりである。 また2010年5-6月は、オホーツク海観測航海に乗船する機会に恵まれた。これらの観測結果は、ロシア政府からの許可が下り次第、解析し、千島列島海域の強い船直乱流混合の発生メカニズム解明に役立てたいと考えている。
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Research Products
(1 results)