2009 Fiscal Year Annual Research Report
キラリティーを持つポリジアセチレン薄膜の形成と新規特性
Project/Area Number |
09J09004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
金 英輝 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポリジアセチレン / 光重合 / 円偏光 / キラリティー |
Research Abstract |
固相光重合反応への円偏光導入により、不斉材料を必要とせずに、キラルなポリジアセチレン(PDA)薄膜の作製が可能である。PDAの新規研性であるこの制御されたキラリティーに関する機能性の検討、キラリティーのエレクトロニクス・フォトニクス分野への展開を、同時に実現するのが、本研究の目的である。平成21年度では基礎研究と位置付け、はじめに、キラリティー誘起に必要な合成プロセスの理解と、キラリティーを示すPDA薄膜内の構造研定を行った。これまでランプ光源による円偏光照射により、PDA薄膜にキラリティーを誘起してきたが(1光子重合)、新たにランプ光源以外でキラリティー誘起の手法を検討し、レーザー光を用いた2光子重合過程によるキラリティー誘起を試みた。結果、2光子重合によるキラリティー誘起が可能なこと、加えて、正負の円二色性(CD)シグナルを制御できることを確認した。一方、円偏光重合したPDAのキラリティーの評価は、CDスペクトル測定の結果のみをもとに考察しており、実際にPDA薄膜のいずれの構造が、キラリティーの原因になるのかは不明である。そこで、透過型電子顕微鏡・原子間力顕微鏡によるPDA薄膜の観察を行い、ドメイン内の周期的な様子や、主鎖に関係するフィブリル状の構造を確認した。さらに、円偏光以外の手法を用いたPDA薄膜へのキラリティー誘起の手法を検討し、キラル材料上で、無偏光照射によるPDA薄膜の作製から、下層のキラリティーに対応した正負のCDシグナルをPDA吸収帯に確認した。この結果により、界面と円偏光を共に用いることで、より大きなキラリティーを誘起できる指針を得たといえる。
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Research Products
(13 results)