2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラリティーを持つポリジアセチレン薄膜の形成と新規特性
Project/Area Number |
09J09004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
金 英輝 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 円偏光 / ポリジアセチレン / 光重合 / キラリティー / アゾベンゼン |
Research Abstract |
光重合過程に円偏光を照射するだけで、アキラルなジアセチレン(DA)から、機能性高分子ポリジアセチレン(PDA)にキラリティーを誘起できる。この独自のキラル化手法を通じ、PDA薄膜の作製評価と機能評価、そして応用展開の可能性を模索するのが本研究の目的である。平成22年度では機能評価研究と位置付け、作製したキラルPDA薄膜の電気・光特性の理解を行った。これまで他のキラル材料と同様に、両親媒性DAから左右円偏光それぞれで作製したキラルPDA-FET素子において、電流-電圧特性に違いは観測されず、電気的な手法では左右の物理的な違いがないことを確認している。そこで、キラルPDAの機能化を見出すため光学的手法に着目し、FET素子を用いたキラルPDAの電界発光、及びガラス基板上での蛍光発光を試みた。結果、PDA自体からの発光を確認したが、左右キラリティーの違いで偏光成分を観測するに至らなかった。一方、光感応性アゾベンゼン部位を分子内に導入しても、アゾベンゼン部位を持たないPDAと同様に、PDAの吸収帯に重合時の円偏光に対応した正負の円二色性(CD)シグナルが誘起できることが明らかになった。さらに重合時と逆の円偏光を照射した場合、CDスペクトルが変調されることが確認された。これまで用いてきた両親媒性DAでは、重合後の左右キラリティーに対する可逆的な正負反転の実現には至っていない。けれども、アゾベンゼンをDAモノマーに導入すれば、さらなる円偏光をトリガーにして、PDA薄膜に一旦誘起されたキラリティーを変調できることが判明した。以上、作製評価と機能評価を通じ、光スイッチング等の応用展開の指針を得たといえる。
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Research Products
(14 results)