2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 剛 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 同位体分別 / 炭酸塩 / 重元素 / ICP-MS |
Research Abstract |
本研究では、原生代後期における海洋化学環境の変動を調べることを目的に、炭酸塩岩に含まれる重元素(酸化還元環境を反映する鉄・セリウムや結晶多形制御に重要なマグネシウム・カルシウム・ストロンチウム)の同位体分別から海洋化学環境の変動を読み取るための新たな研究手法の開発を進めている。 本年度は、マグネシウム・カルシウム・ストロンチウムの高精度同位体分析法の開発と、同位体分別係数を求めるための炭酸塩鉱物沈澱実験法の改良を進めた。マグネシウム・カルシウム・ストロンチウムの同位体分析は、多重検出器型誘導結合ブラズマ質量分析計MC-ICP-MS(Nu Plasma)を用いた。脱溶媒試料導入法を適用すると2倍以上の感度向上が達成された。しかし、カルシウムに比べ濃度の低いマグネシウム・ストロンチウムについて、標準試料と分析試料におけるマトリックスマッチングが重要になることが明らかになった。マグネシウムについては、イオン交換分離を複数回行うことにより、マトリックスの影響を低減させた。ストロンチウムについては、マトリックスの影響を取り除くことができないため、現段階では脱溶媒試料導入法を用いないで分析を行うこととした。同位体分別係数を求めるための炭酸塩鉱物沈澱実験法について、本年度は、北野法とNaHCO3法の二つを用い、カルサイト・アラゴナイトの結晶形を作り分けるために必要なマグネシウム・ストロンチウムの濃度を調べた。今後は、今年度確立した手法を用いて、様々な条件下で沈澱を生成し、そこから得られる試料を分析していく予定である。
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Research Products
(2 results)