2009 Fiscal Year Annual Research Report
亜酸化銅励起子のボース・アインシュタイン凝縮相の分光学的研究
Project/Area Number |
09J09045
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔡 恩美 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 励起子 / Bose-Einstein Condensation / 励起子Lyman分光法 / Cu_2O |
Research Abstract |
今研究の大きい目標はCu2Oパラ励起子における励起子相図の調査である。現在までの研究ではsub-Kで使用できる励起子トラップ装置を作製し、励起子Lyman分光法でトラップが正常に働いていることの確認を行った。またトラップされたパラ励起子をsub-Kの領域まで冷やし、発光を用いてそれを観測することにも成功した。この極低温のパラ励起子を定量的な解析ができる励起子Lyman分光法で観測するために、歪によるパラ励起子2p準位変化の測定を行った。 歪に起因するパラ励起子2p状態の変化は、励起子Lyman分光法で取得した歪トラップされた励起子の1s-2p吸収スペクトルを解析するために、必ず調べらければならない。本研究では、温度を厳密にコントロールしながら結晶に系統的に一様な圧力をかけて励起子準位をシフトさせ、発光と励起子Lyman分光法両方を用いて励起子2p準位の変化を測定し、理論に基づいた計算値と一致することを確認した。発光スペクトルの歪による変化からオルソ励起子の純粋な2p準位の変化を調べ、計算値との比較を行った。次に励起子Lyman分光法を用いてオルソ励起子とパラ励起子の1s準位と2p準位のエネルギー差を観測した。その結果、パラ励起子の1s-2p誘導吸収スペクトルは歪が強いほど低エネルギー側にシフトすることが分かった。 この結果は1s-2p誘導吸収スペクトルを用いてトラップの中でのパラ励起子の分布を調べることができ、その情報から励起子集団の温度を計算できることを意味する。さらに、トラップの底で励起子BECが実現した場合、励起子Lyman分光法を用いてトラップ底の励起子密度分布を直接解析できる。温度と密度はBEC分析にかがせないデータであり、励起子Lyman分光法はトラップの環境下でもこれらの情報を得る有効な手段であることが判明した。
|
Research Products
(1 results)