2010 Fiscal Year Annual Research Report
非環状型配位素子を基盤とした配位ナノリングの創製とトポロジー制御
Project/Area Number |
09J09063
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
橋本 宗 立命館大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属錯体 / π共役系 / らせん構造 / 外部刺激応答 |
Research Abstract |
金属配位子として振る舞う色素分子は、錯形成やそれにともなう骨格変換に基づいた電子および光物性の変調が可能であり、光学材料への応用展開が期待される。たとえばらせん構造では色素部位のねじれに起因した分光特性を与えることが可能であり、平面状錯体においては積層構造に由来した超分子集合体形成時の特異な物性発現が期待される。 われわれは、ビジピリン亜鉛錯体における2重らせん型構造に関して、溶液中でのラセミ化挙動について、CDスペクトルの経時変化からラセミ化定数を算出した。 また、1,3-ジケトン配位子を基盤とした金属錯体の外部刺激応答性についても、その詳細を検討した。まず、ケトン部位を硫黄化した誘導体の合成に成功した。ジピロリルジケトン誘導体と比較してチオカルボニル化した誘導体では、溶液中におけるケトーエノールの互変異性が異なることが分かった。また、長鎖アルコキシ置換基を導入した誘導体では中間相を発現することがDSC測定より示唆された。 得られた誘導体に対して金属錯形成挙動を検証し、2価亜鉛との錯形成において、片方がチオカルボニル化された誘導体の場合、4面体型配位にともなう非対称な錯体の形成が理論計算結果から予測され、実際にそれと合致するピークの非対称性が確認された。 さらに、TBA塩を用いて滴定実験を行い、これら誘導体がアニオン会合能を有することが明らかにした。本研究において、外部刺激応答性を有する金属錯体の創製に成功した。
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Research Products
(3 results)