2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細野 暢彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高分子材料 / ポリマーブラシ / 分子配向 / 光応答性材料 / 刺激応答性材料 / アゾベンゼン / エネルギー変換 / テフロン |
Research Abstract |
本研究の目的は、主鎖のまわりに側鎖を高密度に有する分岐型高分子である「ポリマーブラシ」をモチーフとして、これまでにない動作原理に基づく刺激応答性高分子材料を開発することである。前年度には、光応答性ユニットであるアゾベンゼンを側鎖に多数導入したポリマーブラシの合成に成功した。そして、そのポリマーブラシを市販の延伸テフロンシートでホットプレスしたところ、ブラシが大面積で垂直配向したフィルムを与えることを見いだした。さらに、得られたフィルムは顕著な光応答性を示すことを明らかにした。ホットプレス法によって得たフィルムに紫外光を照射すると、フィルムは敏速に湾曲し、続いて可視光を照射すると再び元の状態に戻る。この興味深い発見から、当初の予定を変更し、平成22年度は得られたポリマーブラシフィルムの光応答メカニズムについて詳細に検討した。 ポリマーブラシがフィルム内でどの程度配向しているかを見積もるため、フィルムの二次元小角X線散乱を測定し、詳細に解析した。その結果、厚さ10μmのフィルムでは約50%、5μmのフィルムでは約90%のポリマーブラシが垂直配向しているという事実を見いだした。 紫外光照射後の湾曲したフィルム内のアゾベンゼンユニットの光異性化率を核磁気共鳴分光測定(NMR)により見積もったところ、わずか1.5%であることを見いだした。その後の詳細な検討から、ホットプレス過程でフィルムの表裏に残留応力が発生し、両者の応力バランスがアゾベンゼンのわずかな光異性化反応によって崩され、大きくフィルムが湾曲するという、これまでにない新しいメカニズムによってフィルムが動作していることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)