2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森本 淳平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 翻訳合成 / ハイスループットスクーニニング / SIRT2 / ペプチド |
Research Abstract |
本研究では、炭素-炭素結合形成をリボソーム内で行うことでアミド結合だけではないより多様性の高い構造を持つ化合物を翻訳で合成する技術を確立し、高い多様性の化合物ライブラリーを迅速に構築しスクリーニングできるという翻訳系の利点を活かして、生理活性化合物探索を加速させることを目指していた。 前年度の報告では、炭素-炭素結合形成を試みたものの目的の達成には至らず、代わりに主鎖はアミド結合であるものの側鎖に非天然型の構造を有する特殊アミノ酸を導入したペプチドライブラリーを構築し、翻訳後修飾酵素を標的とした阻害剤探索を行った。具体的には、脱アセチル化酵素の一種であるSIRT2を標的とし、すでに標的の活性部位に結合して阻害効果を発揮することが知られているトリフルオロアセチルリシン残基(TfaLys.Z)を含むペプチドライブラリーからのスクリーニングを行った。その結果、TfaLys周辺に高い相同性を持つペプチド配列群が得られた。本年度は、これらの配列の中から2つのペプチド配列を選んで固相上で合成し、その活性を以下に述べる方法で調べた。 まず、上記2つのペプチドの標的酵素SIRT2への結合能をSPR(Surface Plasmon Resonance)法によって測定した。この結果、いずれのペプチドもK_d≒4nMという非常に強い結合能を示すことが明らかとなった。続いて、蛍光を指標としたin vitroのSIRT2活性測定キットを用いてペプチドの阻害能を調べたところ、いずれのペプチドもK_dとほぼ一致するIC_<50>≒3nMという強い阻害能を示した。さらに同様のアッセイによって、SIRT1とSIRT3に対する阻害活性も評価したところ、いずれのペプチドもSIRT2特異的であることが明らかとなった。 以上のように本年度の実験から、スクリーニングで得られたペプチドが少なくともin vitroでは非常に強くかつ特異的にSIRT2を阻害することが明らかとなった。
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