2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09085
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 智 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光信号処理 / 信号再生器 / T型フリップフロップ / 半導体光増幅器 / DPSK / 光通信 |
Research Abstract |
通信の大容量化に伴い,処理遅延の低減,低消費電力化の観点から光電変換を介さない全光信号処理が注目を集めている.本研究課題では,伝送により劣化してしまった信号を再生する信号再生器に関して,近年導入されつつある差動位相変調(DPSK)方式に対応する全光信号再生器の実現を目標として研究を行っている.本研究では,DPSK信号を強度変調(OOK)信号に変換してから再生を行う方式について検討しており,その際に必要となるDPSKエンコード処理を行うための全光T型フリップフロップ(T-FF)を実現することを直近の目標として本年度の研究を行った.具体的な研究成果としては以下のとおりである. 1.高速動作を実現するため,対向型Mach-Zehnder干渉計(MZI)と半導体光増幅器(SOA)による回路構成を提案し,数値解析により原理的な動作の可能性を示した. 2.数値解析を行うための計算モデルに関して,多重量子井戸(MQW)構造のSOAに対する利得モデルを新たに考案し,実験結果との良い一致を得るに至った. 3.数値解析により,回路が動作するためにSOAに要求される特性として,10Gbpsの動作速度で20ps以下というキャリア回復時間が必要であることを見出した.また,安定動作条件として帰還光パワーの減衰を適切に設定することで安定動作点が存在することを明らかにした.これにより,回路の設計指針が得られたため,実験による実証に向けて大いに有効である. 4.上記の検討から,現状のSOAの特性では動作速度が数Gbps程度になると予想されたため,更なる高速動作に向けた検討を行った.具体的には,高速波長変換等で用いられているPush-Pull手法を導入できる回路構成を考案し,数値シミュレーションにおいて10Gbps動作が可能であることを示した.これは,高速信号への対応を検討する上で重要なものであると考える.
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Research Products
(5 results)