Research Abstract |
1.レーザ内視鏡の細径化・高出力化 細径内視鏡を通して高出力レーザを高効率で伝達するために,幾何光学に基づく解析を行い,レーザ内視鏡の構成手法を明確にした.この解析に基づき,外径3.5mm,視野角90°,有効長270mmと臨床使用可能な大きさで,レーザの伝達効率60%以上のレーザ内視鏡を開発した. 2.レーザ照射のための追跡機能開発 内視鏡を移動させることなく,移動する血管へレーザ照射を行うために,画像処理による追跡を行うこととした.逐次追跡において大局的と局所のオプティカルフローを利用して追跡することで,対象の変化やノイズに対し頑健な追跡を可能とした.また,子宮内で課題となる鏡面反射や羊水中浮遊物を抽出,除去する手法を考案・実装し,頑健性を確保した, 3.システムの統合 上記レーザ内視鏡と追跡機能を統合したシステムを開発した.この際,レーザ照射位置決めのキャリブレーションを簡易化,高精度化した.また,各機能をマルチスレッドとし,画像取得,追跡,レーザ位置決め,レーザ照射を並列で動作させる.これにより処理の待ち時間を低減し,レーザ照射の位置決め誤差を低減した.さらに,処理の遅延による位置決め誤差を低減するために,追跡情報に基づく位置予測を行い,移動対象に対しても高精度照射位置決めを可能とした. 実験により照射範囲は,水平,垂直方向それぞれ40°以上であり,内視鏡の初期位置決めが容易になると考えられる.また,レーザ照射位置決め誤差は距離10~20mmにおいて,0.2mm以下と十分な精度であった. 4.in vivo実験 呼吸動をもつ血管のレーザ照射実験において凝固が実現された.また,クリックとレーザ照射スイッチを押すのみで移動対象の凝固が可能という高い操作性が示された. これより本システムでは,より安全で簡易な治療が実現可能である.また,胎児外科以外の治療への適用も期待される.
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