Research Abstract |
胎児外科手術のためのレーザ手術システムの構築において,レーザ内視鏡の評価実験と胎児保持デバイスの開発を行った. 1)レーザ内視鏡 ・実用性についての評価実験 レーザ照射点変更可能角度は,最大効率の90%以上の伝達効率を得られる範囲で,水平方向に24度,鉛直方向に22度であった.また,in vitro実験において,腸間膜上の血管をレーザ照射し,内視鏡自体を移動させずに指定した血管部位の凝固が可能であった.これにより,安全で簡易な手術を行える可能性が示された. 2)胎児保持デバイス 1.軟性デバイスの開発 挿入径を小さくかつ胎児への接触面積を大きくするために,多房のバルーンを用い,また,バルーン拡張前に接触によって胎盤組織を傷つける危険性を抑えるために,主軸として細径チューブを用い,デバイス全体の柔軟性を確保した.また,バルーンの拡張によってアームが屈曲する構造を考案し,屈曲中にも無理な力を与えないものとし,バルーンの格納面積も大きくした. 2.制御ユニット バルーンの拡張・屈曲のための水圧制御システムを開発した.空圧による圧力制御を行うことで小型なシステムを実現した.また,圧力を調整するPC上のインタフェースを開発した. 3.評価実験 アームの1関節あたりの特性を評価した.柔軟性として,φ4mmの先端から静的に押し込んだ際に最大約1.3Nであった.これは羊膜の破断強度に対して小さく,保持に至るまでに接触によって胎盤を損傷する危険性は小さいと考えられる.また,屈曲力は水圧により変化し,内圧30kPaにおいて約0.5Nの力が得られ,羊水中を浮遊している胎児の保持は可能だと考えられる.しかし,安定な保持には力が不足しており,工夫が必要である.また,制御ユニットは安定な圧力での注水が可能であったが,最大屈曲と伸展には約15秒要した。細径チューブによる圧力損失が大きいため,改善が求められる.
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