2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ子宮内膜における血管内皮増殖因子の生理的役割ならびにその制御機構の解明
Project/Area Number |
09J09102
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田崎 ゆかり 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 黄体退行 / 発情周期 / 血管内皮増殖因子 / プロスタグランジン / 子宮内膜 / ウシ / 細胞増殖 |
Research Abstract |
本研究ではこれまでに、成長因子のひとつである血管内皮増殖因子(VEGF)が排卵周期調節に関わるプロスタグランジンF2α分泌を促進することを報告した。一方で、ウシでは排卵周期を通じた子宮の形態的変化についての詳細が明らかにされていないため、VEGFの成長因子としての作用を評価することができなかった。上記の理由から、本年度はウシ子宮内膜の構造的変化に関する基礎データを構築する目的で、排卵周期を通じたウシ子宮における細胞増殖の動態を解析した。 食肉センター由来の子宮を卵巣の肉眼的所見により黄体初期、中期、後期および卵胞期に分類し、常法に従い組織をパラフィン包埋し組織切片を作成した。増殖中の細胞に特異的に発現するki-67タンパク質の局在を免疫組織化学により可視化することで、増殖中の細胞を検出した。染色像上に無作為に設定した1200点に存在する細胞に占める増殖中の細胞の割合を細胞種ごとに%に換算し、細胞種間ならびに排卵周期間で比較した。 増殖中の細胞の割合を細胞種間で比較したところ、ほとんどの排卵周期において子宮内膜腔および腺上皮細胞で他の細胞種と比較して高かった。また、排卵周期間で比較したところ、子宮腔上皮ならびに腺上皮では黄体初期および卵胞期において黄体中期および後期と比較して高かった。間質細胞では卵胞期において黄体中期ならびに後期と比較して増殖中の細胞の割合が高かった。以上の結果より、ウシ子宮内膜を構成する細胞の増殖が排卵周期を通じて制御されていることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)