2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた極値の時系列構造に関するベイズ分析
Project/Area Number |
09J09122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國濱 剛 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 極値理論 / リスク分析 |
Research Abstract |
2つの方向性を持って研究を進めてきたが、1つ目の研究において従来の時系列分析において広く用いられてきたAR、MA過程と、極値理論における基本的な分布である一般化極値分布を組み合わせた状態空間モデルを新たな時系列極値モデルとして提案した。このモデルは非線形非正規型であるため状態変数のサンプリングが困難であるが、非線形正規型の状態空間モデルで近似することで、効率的にサンプリングできる推定アルゴリズムを提案した。さらにモデル比較のための周辺尤度を求める際に必要となる効率的な粒子フィルターの手法も提案している。実証分析としてTOPIXの日次収益率の月間最小値データの分析を行い、パラメータの推定結果からデータは裾の厚い分布に従っており、極値間には時間的な従属性が確かに存在することがわかった。さらに周辺尤度を用いた他の時系列極値モデルとの比較では、提案したモデルの当てはまりが最もよかった。 もう一方の研究では、Max-stable過程と一般化極値分布に基づく状態空間モデルの効率的な推定方法の改善に取り組んできた。先ほどと同様に非線形非正規型モデルを非線形正規型として表すことで効率的なサンプリングが可能となった。この手法をさらに粒子フィルターへと応用することで、従来のフィルターよりも効率的な粒子フィルターを考案した。従来の推定方法とのシュミレーションを用いた比較では、サンプリングの効率性が大幅に向上したことが明らかになった。さらにMA型のMax-stable過程に加えてARMA型過程への拡張と、その効率的な推定アルゴリズムを提案した。また、Day traderが注目するチャートのひとつである5分刻みのTOPIX株価収益率の日次最小値を用いた分析を行い、従属的な時系列構造があることが明らかになった。周辺尤度による比較では、独立性を仮定したモデルと比べた結果、従属性を考慮した時系列極値モデルの当てはまりのほうがいいことがわかった。
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