2009 Fiscal Year Annual Research Report
アテンション機能を有する嗅覚系モデルと学習型バイオミメティック匂い識別装置の提案
Project/Area Number |
09J09124
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
曽 智 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 官能検査 / 嗅覚系神経モデル / 嗅覚受容細胞 / 嗅球 / におい分子 / 神経活動パターン / ガウス混合関数 / グラフカーネル法 |
Research Abstract |
近年,においを的確に評価し得る方法の検討が重要な課題となってきている.本研究では,人が行ってきた官能検査を代行する人工官能検査装置を提案する.本年度は嗅覚系の数理モデルの構築を行い,以下の成果をおさめた. (1)嗅覚受容細胞の機能のモデル化と受容特性の推定 各受容細胞は,特定のにおい分子と結合する受容体を1種類発現している.受容細胞をそのままモデル化するためには,受容体と分子の複雑な結合メカニズムをモデル化し、結合の強度を計算する必要がある.しかしながら、受容体の構造が解明されているのは、ラットが持つ1,000種類の受容体タンパク質のほんの一部に過ぎないため,受容細胞の構造を詳細にモデル化することは不可能である.本研究では,似た構造を持つ分子に反応するという受容細胞の機能に着目し,グラフカーネル法とガウス混合関数を含むニューラルネットという二つの工学的分野の技術を融合させることで,実際の受容細胞の出力の推定した. (2)嗅球の活動パターンの予測 におい情報の統合処理部である嗅球の神経活動は,においの感覚を表現していると考えられている.嗅球の内部は主に僧房細胞と顆粒細胞で構成されているが,これらの活動を計測することは技術的に難しく,系統だった計測データは公開されていない.そこで,解剖学的知見に基づいて神経細胞間の結合を考慮したニューラルネットモデルを構築することで各細胞間の相互作用の再現し,嗅球の活動パターンを推定した.実生物を用いたにおい識別実験と比較した結果,嗅球の活動パターン間の類似度(相関)を用いて匂い同士の識別のしにくさを表現できることを確認した。
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Research Products
(4 results)