2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工キラル構造のモルフォロジー制御による新奇光機能開拓の研究
Project/Area Number |
09J09149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神田 夏輝 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタマテリアル / テラヘルツ / エリプソメトリー |
Research Abstract |
本研究は、微細加工技術を用いて作製した人工構造などの形状制御を用いることで非局所的な光学応答を制御し、巨大な光学活性を発現させ、動的制御化を行った偏光制御を実現することを目標としている。光学活性による偏光制御は入射偏光の向きによらないという特徴を持ち、新たな偏光制御法として期待される。とくにテラヘルツ領域では偏光制御技術が未成熟で、幅広い応用の可能性を持つテラヘルツ偏光計測にとって偏光制御や偏光変調は重要な課題である。現在得られている人工キラル格子構造の光学活性による偏光回転は応用を考えるとまだ小さいので、これまでの研究結果を踏まえて人工キラル構造で90度の偏光回転の実現を目指している。また、従来のようなモルフォロジーの制御に加え、光励起キャリアによる動的制御を組み合わせることで、人工構造による動的な偏光制御を目指して研究を行っている。 本年度の成果として、テラヘルツ領域においてキラル格子の光励起による光学活性の動的制御に成功した。シリコン基板上に作製した周期100ミクロンの金薄膜キラル格子に対して光励起を行った場合のみテラヘルツ波の偏光が0.6度程度回転することを発見し、この偏光回転が金薄膜の形状のキラリティーの反転に対して符号を変えることを確認した。この現象はシリコン基板中に金薄膜のパターンを反映したキラルなキャリア分布ができることで説明でき、偏光回転スペクトルのキラリティー依存性、および励起強度依存性がシミュレーションにより再現することができた。さらに、この現象のダイナミクスの測定を行うことで、拡散の効果というキャリア寿命より早い緩和過程の存在を明らかにし、キラルなキャリア分布が重要であることを裏付けることができた。この結果を踏まえ、光励起による光学活性の動的制御に適した半導体材料の選択や構造の設計を行い、光学活性の動的制御を最適化することは今後の課題である。
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Research Products
(5 results)