2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ金属間相互作用制御に基づく新規無機分子光材料の開発
Project/Area Number |
09J09161
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高嶋 敏宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 酸素発生反応 / 酸化マンガン / 反応機構 / 過電圧 / 電気化学 |
Research Abstract |
本研究では光耐久性が高く、分子設計による制御が可能な人工光合成材料の開発に向けて、無機分子のみで構成する光反応場の構築を目指して研究を進めている。そのために前年度、我々は多電子移動反応を可視光で駆動するための光吸収部位を作成しており、今年度は反応を駆動する触媒サイトの作成に向けて研究を行った。具体的には人工光合成システムを完成させる上で必要な反応の一つである酸素発生反応を対象とし、この反応が酸化マンガン触媒上で駆動するときの反応機構について検討し、触媒活性を支配している因子を明らかにすることを目指した。マンガンは自然界の光合成における酸素発生中心として機能することが知られている唯一の元素であり、酵素を模倣したマンガン錯体の合成や反応機構の検討は以前より盛んに研究がなされている。しかし一方で酸化マンガン上での反応機構に関してはこれまでほとんど報告されていない。我々は酸化マンガン上で酸素発生が起こる際に関与しているマンガンイオンの酸化状態をin situにおいて明らかにするために、透明基板上にコロイド溶液を散布して作成した酸化マンガン電極を用いて、電気化学的および分光学的な手法を組み合わせて検討を行った。その結果、酸化マンガン触媒上で反応が駆動するときには3価のマンガンイオンが中間体として働くことを見出し、さらにその生成過程が触媒の活性を支配していることを初めて明らかにした。これらの研究成果は酸化マンガンをベースとする酸素発生触媒の活性を向上させるための指針を与えるものと考えられ、特に人工光合成システムを実用するうえで重要な中性条件において活性の高い触媒を開発する際に役立つことが期待できる。
|
Research Products
(7 results)