2009 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉機能団に基づく機能性らせん高分子の創製とその特性評価
Project/Area Number |
09J09162
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石割 文崇 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 動的らせん / 軸不斉 / ロタキサン / ポリロタキサン / ポリアセチレン |
Research Abstract |
らせん高分子はそのらせん構造によってその性質が決定する。らせん高分子の中には動的らせん高分子高分子と言った、温度や溶媒の極性などに応じて様々にらせん構造を変化させるらせん高分子が存在する。そのような動的らせん高分子はその時々のとり得るらせん構造によって様々にその機能を変化させることが期待されるが、その構造変化は結果的に偶然に起こるのみであり、動的らせん高分子の合理的ならせん構造の制御例はほとんど報告されていない。本年度は輪成分が軸不斉なロタキサン構造を側鎖に有するらせん高分子の合成を行ない、合理的ならせん構造制御を行なった。すなわち、輪成分が高分子主鎖から遠方に位置する場合はそのらせん構造は右巻きらせん左巻きらせんの等量混合物となるが、主鎖近傍に存在する場合はらせんの巻方向が片巻きにかたより、側鎖のロタキサンの輪成分の位置の制御によってらせん高分子の巻き方向の制御が可能になった。またこのらせん構造の変化は輪成分の位置を可逆に変化させることにより、何度でも可逆的に引き起こすことができた。このようなロタキサン構造を側鎖に導入した高分子を一般に側鎖型ポリロタキサンと呼ばれているが、本成果は側鎖型ポリロタキサンの輪成分の制御によって高分子主鎖の高次構造を制御できることを見いだした初めての例となった。またその輪成分に軸不斉なものではなく点不斉のものを用いても主鎖の高分子の高次構造は全く変化しなかったことから、軸不斉機能団の有用性も示された。
|