2010 Fiscal Year Annual Research Report
BMIを用いた脳活動と行動の因果解析による意思決定プロセスの解明
Project/Area Number |
09J09180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹中 一仁 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経活動解析 / Electrocorticography / Connectivity / ネットワークダイナミクス / 教師なし解析 / ニホンザル |
Research Abstract |
本研究ではサルの神経活動を計測し、複数領域間の関係性に基づく解析によって脳の情報ネットワーク構造を抽出し、意思決定といった脳の内部プロセスを解明することを目指している。本年度は研究の最終年度として、サルの広い領域から神経活動を同時計測し、その情報ネットワーク状態を教師なしで解析する方法を提案し検証実験によりその有効性を示した。 従来の神経活動解析は特定の脳部位について外的に設定された特定の状況や事象と関連する活動を解析する個別機能研究が主流であり、システム全体の内部ダイナミクスは対象外であった。一方、皮質表面に多数の電極を配置するECoGは、高時間解像度での多点同時計測に適した最近の手法であり、そのデータから多数の脳部位の活動連関すなわちネットワーク構造の時間変化を抽出する解析法を実現すれば、脳のシステム全体の内部ダイナミクスの理解に大きく寄与すると考えられる。 本研究では、複数領域の相関や因果関係を表現した関係性行列の時系列データに対して混合ディリクレ過程と無限関係モデルを組み合わせた解析を行うダイナミックネットワークマイニングを提案し、神経活動データに内在する情報構造を教師なしに抽出できることを示した。この検証のためサルに麻酔投与実験を行い、脳全体の関係性が麻酔とともに変化し麻酔から回復すると麻酔前と同じ関係性へと復帰すること、視覚野内の活動の因果関係において覚醒開眼時に見られる関係性構造が閉眼麻酔時にも再現することを発見した。 本研究は神経活動解析において、従来とは異なる大規模データからの内在構造の抽出というアプローチを提唱し、多点同時計測データからネットワーク構造の時間変化を抽出する新たな解析法の開発を行い、その有効性を示したものである。これは,従来の仮説検証型と相補的な構造発見型という新しい神経科学のアプローチを提示し、その実現への端緒を開くものといえる。
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Research Products
(1 results)