2009 Fiscal Year Annual Research Report
伊豆衝突帯における地震学的構造と物質学的構造の統一的理解
Project/Area Number |
09J09214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 隆太 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 伊豆衝突帯 / 地殻構造 / 地震活動 / 岩石モデル |
Research Abstract |
伊豆衝突帯の地殻構造を地震学・物質学の両面から包括的に理解し、衝突帯下で発生する地震活動の発生要因を明らかにすることを目的とし、人工地震データと自然地震データを統合した地震波トモグラフィ解析を実施した。得られた地震波速度構造を、室内実験で得られている構成岩石の弾性波速度と比較することで、主にトーナル岩と斑レイ岩で構成される衝突帯の岩石モデルの構築に成功した。さらに、地殻の不均質構造と震源分布の対応関係を確認し、伊豆小笠原弧に由来する火山ブロックが衝突帯の下に沈み込んでおり、そのブロックの内部で活発な地震活動が発生していることを発見した。さらに、この地震活動の発生要因を詳細に議論するために、b値(地震活動の規模別頻度を表す)という新たな指標に着目し、その空間分布を求めた。その結果、その地震活動域に存在する流体の量は非常に少なく、地震活動にはほとんど寄与していないことがわかった。この成果は従来の脱水脆性化説(含水鉱物が沈み込みに伴って地殻中に流体を放出し、その流体が地殻内で地震活動を引き起こす、という説)を覆す重要な成果である。以上の解析結果から、火山ブロック内部に存在する微小断層周辺に、衝突による高応力状態が実現されることによって活発な地震活動が起こる、という新しいモデルを提唱した。なお、本研究は当初の研究実施計画通りに進展しており、22年度は予定通り、他の衝突・沈み込み帯との比較研究を進めるとともに、本研究の成果を学術論文および博士学位論文にまとめる。
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Research Products
(5 results)