2010 Fiscal Year Annual Research Report
計算代数とテンソル代数に基づくロバスト多重スペクトル推定に関する研究
Project/Area Number |
09J09215
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
ガンディ S 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Low-rank matrix recovery / Dimensionality Reduction / Compressed Sensing / Matrix completion / Principal Component Pursuit / Tensor completion |
Research Abstract |
本研究は行列とテンソルの疎表現と凸最適化による復元手法を研究している.以下主要成果を2つ紹介しておく. 第1の成果は,低ランク行列が疎行列で表現された加法雑音を伴って観測される状況を想定し,観測行列から低ランク行列を復元する問題を検討したものである.この問題は主成分分析の非自明な拡張として注目されてきたが,大規模な行列に対する実用的なアルゴリズムは知られていなかった.本研究ではこの問題とその凸緩和問題の各々に対してアルゴリズムを提案している.まず,貪欲アルゴリズム(greedy algorithm)を提案し,このアルゴリズムによって所望の低ランク行列が十分な精度で推定されることを数値実験で明らかにしている.次に,凸緩和問題として「"行列のl_1ノルム(l_0ノルムの凸緩和)"と"行列の特異値の総掬(ランクの凸緩和)"の重み付き和を最小化する問題」を直積空間上で定式化し,Douglas-Rachford splittingを適用した低計算コストなアルゴリズムを提案している.このアルゴリズムは予め所望の行列のl_0ノルムやランクの情報を必要とせず,既存のアルゴリズムに比べ優れた収束性能を持っていることを明らかにしている.さらに,2つの提案アルゴリズムを複数の顔画像から鏡面反射や陰影を除去する問題に応用し,優れた効果を確認している.以上の結果はJournal of Math-for-Industryに発表している. 第2の成果は,テンソルのランクとして,複数のモードで各々展開された行列を用いて定義される「n-ランク」を採用し、線形テンソル方程式の最小ランク解を求める問題とその凸緩和問題を検討したものである.この問題は高次元データの復元問題のモデルとして注目されてきたが,大規模なテンソルに対して所望のn-ランク情報を必要としない実用的なアルゴリズムは知られていなかった.本研究ではこの凸緩和問題にDouglas-Rachford splittingとADMを適用することにより,低計算コストなアルゴリズムを2つ提案し,これらが,いずれも所望のテンソルのn-ランクの情報を必要とせず,優れた収束性能を持つことを明らかにしている.さらに2つのアルゴリズムを医用画像や多重分光画像の復元問題に応用し,優れた効果を確認している.以上の結果はInverse Problemsに発表している.
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Research Products
(4 results)