2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性アルカロイドChartelline類の合成研究
Project/Area Number |
09J09232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 浩太郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Chartelline / 全合成 / 複素環骨格 / スビロβ-ラクタム / β-クロロエナミド |
Research Abstract |
Chartelline類は1985年、Cristophersenらにより海洋コケムシChartella papyraceaから単離されたアルカロイドである^1。本天然物は中心となる十員環骨格に加え、イミダゾール、インドレニン、スピロβ-ラクタム環といった複素環骨格を有している。一般に複素環骨格を有する化合物群には、抗腫瘍活性や抗菌活性など様々な生理活性を示すものが多く存在している。更に本天然物は高度にハロゲン化された特異な構造を有しているため様々な生理活性が期待されているが、その詳細は未だ明らかになっていない。このように合成化学的にも挑戦的であり、かつ創薬的見地からも可能性を秘めたChartelline類は多くの合成化学者の興味を惹き付けている。我々も光学活性体での全合成を視野に入れた合成研究に着手した。 スピロβ-ラクタムに対してアルコールの脱水反応を試みたが置換反応のみが観測された。これは主骨格構築後の化合物の立体配座が固定されており、所望の脱水反応が起こるための配座を取りにくくなっているためであると考えられる。そこでβ-ラクタムを構築する前にβ-クロロエナミドへの変換を試みることとした。光延反応によって構築した10員環アミドに対して窒素原子の保護基をかけかえた後、水酸基の脱保護、ケトンへの酸化を経て反応前駆体を合成した。得られたケトンを足掛かりとしてエノール誘導体を導くことに成功した。このエノール誘導体に対して遷移金属触媒等を用いたビニルクロリドへの変換を検討し、天然物へと導く予定である。現在の合成経路は大量化にも適しており力強い有機合成経路を提示できるものと考えている。
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Research Products
(1 results)