2011 Fiscal Year Annual Research Report
時空間データに対する統計モデルの構築とその推定・検定について
Project/Area Number |
09J09237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 敏弘 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 統計学 / 空間統計学 / クリギング / Covariance Tapering / transformed random field / エルミート多項式 |
Research Abstract |
時空間データに対する代表的な予測方法としてクリギングが挙けられる.クリギングを行う場合,得られたサンプルの分散共分散行列の逆行列を計算する必要がある.この計算量はサンプル数nの3乗のオーダーとなるが,環境統計の分野ではサンプル数が非常に大きくなる場合があるので大規模時空間データに対するクリギングの計算量は膨大となる.この計算負荷を軽減するためにCovariance Taperingという手法が提案されている.この手法は正規確率場においては妥当であるが,降水量やコバルト濃度などの大規模空間データは通常正値を取り,データに対して対数正規分布を仮定することがあるため,これらのデータに対する適用についての理論的妥当性は不明であった,この問題に対処するため,昨年度はCovariance Taperingの対数正規確率場への拡張を行い様々な理論的結果を得た. 今年度はCovariance Taperingの研究を継続し,対数正規確率場を含むようなより一般的な確率場において最適な非線形予測量,BLUP.Covariance Taperingを行ったBLUPの3つがMSEの意味で漸近的に同等であることを証明した.上記の理論的成果はdiscussion paperにまとめられ,現在投稿中である. また,一般化最小二乗推定量について,得られた時空間データの規模が大きい場合,式中に含まれる分散共分散行列の逆行列の計算負荷が極めて大きくなるので,その高速計算について考察を行い代替的な推定量を提案した.具体的には,separableな空間相関を持つ確率場の下で,doubly geometric processを真の相関構造と見なしているpseudo best estimatorを提案し,その漸近分散を導出した.提案した推定量は逆行列の計算をする必要がないので高速計算が可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covariance Taperingを用いた予測量の漸近的性質について本年度の目標を完全に達成した. 一般化最小二乗推定量の高速計算については,代替的な推定量を提案し理論的な成果を挙げた.
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Research Products
(2 results)