2009 Fiscal Year Annual Research Report
内モンゴル自治区における経済性の向上と環境負荷低減による持続的農業に関する研究
Project/Area Number |
09J09256
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
長命 洋佑 Ryukoku University, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酪農 / 生態移民政策 / 内モンゴル / 乳業メーカー |
Research Abstract |
本研究の目的は、内モンゴル自治区における農牧民を対象に、(1)個別経営における飼養技術や経営方針が経済性の向上と環境負荷低減に及ぼす影響を明らかすることで、(2)経済性の向上と環境保全のトレードオフ関係を解決し、持続的農業への実施方策を提示することであった。本年度は、6月および7~8月にかけて内モンゴル自治区にて2つの調査研究を行った。第一の研究として、個別経営が乳業メーカーと契約を結び酪農生産を行っている生産形態に着目し、両者の対応関係を明らかにするとともに、今後の課題について検討した。分析の結果、農家側は飼料購入時における立替支払いの制度および生乳の全量買い取りを乳業メーカーが行っていることに対して高く評価していることを明らかにした。また、今後の課題として、第一に、乳質向上への意識を向上させていくこと、第二に、給与飼料の貯蔵技術を向上させること、第三に、農家の裁量に委ねられている精液および粗飼料の購入を乳業メーカーで一括管理し、良質な生乳生産が可能となる育種計画を行っていくことが重要であると考えられた。第二の研究として、生態移民政策により移民させられた移民村で酪農経営を行っている2つの村を対象に「生態移民政策後の酪農経営状況に関する意識調査」を実施した。これらの移民村の特徴は、元来、羊や山羊などの家畜を遊牧されていた遊牧民が移民村において酪農を開始した点である。分析の結果、飼養管理技術の不足が大きな課題となり、酪農生産を中止せざるをえない農家が多く存在していることを明らかにした。これらの調査により、生態移民政策実施後の酪農経営の概観をつかむことはできたといえる。来年度はこの調査における補足調査を実施するとともに、元来より牛を飼養していた農民を中心とした移民村での調査を実施し、比較分析を行っていくことが課題となる。
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Research Products
(4 results)