2010 Fiscal Year Annual Research Report
内モンゴル自治区における経済性の向上と環境負荷低減による持続的農業に関する研究
Project/Area Number |
09J09256
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
長命 洋佑 龍谷大学, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 内モンゴル自治区 / 農業生産構造 / 生態移民 / 統計分析 / アンケート調査 / 環境保全 |
Research Abstract |
本研究の目的は、内モンゴル自治区における農牧民を対象に、(1)個別経営における飼養技術や経営方針が経済性の向上と環境負荷低減に及ぼす影響を明らかすることで、(2)経済性の向上と環境保全のトレードオフ関係を解決し、持続的農業への実施方策を提示することであった。本年度は、下記に示す2つの研究を遂行した。 第一に、中国内モンゴル自治区における農牧民所得の規定要因の解明を図った。「生態移民」政策および「退耕還林・還草」政策が実施される直前の2000年および2007年の統計資料(「内蒙古統計年鑑」および「内蒙古社会経済統計年鑑」など)を用いて、農牧民所得を規定している要因の解明を行った。分析の結果、耕種作物では、経済性の高い作物であるとうもろこしや甜菜の重要度が高まっていること、また、乳牛や肉用牛などの経済性の高い家畜へとシフトしていることを明らかにした。さらに、農業生産構造が複雑化していることや「生態移民」政策および「退耕還林・還草」政策の補助金などの影響により、農牧民所得を規定している要因が2000年から2007年にかけて複雑化していることを明らかにした。 第二に、「生態移民」政策により、移民した農家の経営分析を行った。内モンゴル自治区シリンゴル盟に属する2つの移民村を対象にアンケート調査を実施した。分析では、生態移民後の所得および乳量の変化、家畜の飼養に関する問題点を独立変数として、その規定要因として、経営形態や移民前の牛飼養経験の有無、情報入手能力、飼料給与方法などを取り上げ、分析を行った。分析の結果、移民前に牛の飼養経験のあった農家、飼料給与を自己流でなくマニュアルに沿って給与している農家において、移民後の所得向上、乳量の増加がみられ、乳牛の飼養管理における問題意識が低いことを明らかにした。 来年度はこの調査結果を論文として発表することに加え、これまでの研究のまとめを行うことが課題となる。
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Research Products
(8 results)