2011 Fiscal Year Annual Research Report
内モンゴル自治区における経済性の向上と環境負荷低減による持続的農業に関する研究
Project/Area Number |
09J09256
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
長命 洋佑 龍谷大学, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 内モンゴル自治区 / 生態移民 / 環境保全 / 酪農生産 |
Research Abstract |
本年度は激変する内モンゴルにおける酪農生産に関して、以下の2点に着目し、調査研究を遂行した。第一に、乳業メーカーと取引契約を結び酪農生産を行う酪農家、第二に、生態移民などの政策実施にともない、これまでの遊牧から舎飼の酪農へと生産方式の変更を強いられた農家である。 第一の生産方式に関しては、近年、激変している内モンゴルにおける酪農生産の変遷を概観するとともに流通構造を明らかにした。さらに,乳業メーカーと契約し酪農生産を行っている酪農家への聞き取り調査を通して経営の実態とその発展メカニズムを明らかにした。 次いで、内モンゴルにおいて実施された「生態移民」政策により、「移民村に移住した農家4戸に対する聞き取り調査を行い、経営の実態を明らかにした。その中で、移民村を存続していくには、以下の3点の課題に対応していくことが重要であることを指摘した。第一に、安定的な飼料確保の問題である。現在は、乳牛の飼養が困難となり、移民村から出て行った農家の土地が多数余っている状態であるため、こうした土地を飼料作畑として利用し、飼料生産を行っていくことが飼料確保にとって有効な方策になることが考えられた。第二に、搾乳ステーションを継続的に稼動させていくことである。今後は、酪農家自身が搾乳ステーション停止にともなうリスクを回避するために、チーズやヨーグルトなど付加価値の高い生乳製品を製造する技術の習得や外部での販売先の確保を行うなど、多様な生産形態を確立していくことも必要であると考える。第三に、移民村において、家畜飼養の継続が困難になった場合に備え、移民村内で語学習得や職業訓練など、.生活の多様化を図ることが可能となる支援体制を構築していくことが必要である。
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Research Products
(8 results)