2009 Fiscal Year Annual Research Report
多元素フロー連関分析モデルの構築とそれを用いた環境技術及び施策の評価
Project/Area Number |
09J09266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑山 博樹 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 資源循環 / 鉄鋼 / マテリアルフロー分析 / 需要予測 |
Research Abstract |
鉄鋼を対象としたマテリアルフロー分析を世界大でおこない,さらに2050年までの鉄鋼消費量、蓄積量の推計をおこなった。鉄鋼は他素材部品と組み合わせて製品を構成することも多く、社会における金属材料のフローを支配している素材といえる。そこで、世界全体で鉄鋼の需給バランスを検討し循環利用システムを検討するために約40カ国を対象として動的マテリアルフロー分析をおこない、2005年までの鉄鋼の使用状況の推計と2050年までの将来予測をおこなった。将来予測においては、GDPに加え、人口密度や都市化度といった指標によって,国ごとに固有の成長パターンを導出した。 2005年における鉄鋼の蓄積量は、同年の消費量の15倍にあたる約130億トン(=人口1人あたり2.5トン)と推計された。このうち、消費量および使用年数が大きい土木、建築用途が6割、自動車が1割を占めた。また、消費量の8.4億トンに対し使用済み製品に含まれる鉄鋼は3.4億トンと推計された。鉄鋼の主要用途である土木、建築、自動車の3用途について将来予測をおこなったところ、2050年には蓄積量が約550億トン、消費量が約18億トンに達すると推計された。これらの成長は主に人口の大きいアジアによってもたらされ,南米やアフリカの影響は2050年の時点では小さかった。また、消費量の推移を用途別にみると、2025年頃を境に土木、建築から自動車へ産業が移行する様子が示された。 これまでの研究で,主要金属である鉄鋼のフローについて、経済の成長に伴う産業の変化を反映して記述することができた。それにより、各産業での技術変化がマテリアルフローに及ぼす影響を評価することができる。また、今後鉄鋼以外の素材に関しても同様に記述することで、製品の素材代替やリサイクル時の分離回収の促進が各素材のマテリアルフローに及ぼす影響についても評価できると考えられる。
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Research Products
(3 results)