2010 Fiscal Year Annual Research Report
多元素フロー連関分析モデルの構築とそれを用いた環境技術及び施策の評価
Project/Area Number |
09J09266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑山 博樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マテリアルフロー分析 / 多元素ピンチ解析 / アルミニウム / リサイクル / 次世代自動車 / スクラップソーティング |
Research Abstract |
次世代自動車の導入シナリオに基づいたアルミニウムのマテリアルフロー分析と、循環利用可能性の評価をおこなった。従来の自動車と異なる材料構成である次世代自動車の導入によって、素材サイクルの各フローの量と品位がどのように変化するかを分析し、それが循環利用に与える影響を多元素ピンチ解析によって示した。また、カスケードリサイクルを改善するための方策として検討されているスクラップの分別回収について、その循環利用促進への寄与を定量的に示した。分析では、International Energy AgencyのBLUE Map scenarioをもとに、米国、欧州、日本、中国を対象として2050年までのハイブリッド自動車と電気自動車の導入シナリオを設定した。さらに、スクラップからの合金種別の回収について、自動車スクラップを対象に実施するシナリオを設定した。それぞれのシナリオを対象としてマテリアルフロー分析に基づいた多元素ピンチ解析をおこなった結果、次世代自動車の導入によって2030年頃にアルミニウムを循環利用しにくい状況が生じることが示唆された。これは、他元素の許容濃度が高い鋳造品の使用量が少ない電気自動車の生産が拡大する一方で、鋳造品の使用量が多いガソリン自動車由来のスクラップが増加し続けていることが原因と考えられた。また、自動車スクラップからのアルミニウムの合金種別回収の実施は循環利用を促進することが示され、2030年で15%、2050年で25%程度の新地金消費量の削減に貢献すると推計された。 本章でおこなった分析は、政策や技術開発が資源循環に中長期的に及ぼす影響について、素材循環の分析モデルを用いて定量的に評価した一例といえる。循環型社会の形成に向けて、本研究のように複数の国を対象とした素材循環の分析モデルに基づいて様々な方策の効果を評価することは、その実現に貢献すると考えられる。
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Research Products
(6 results)