2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09287
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
安部 哲哉 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 交代化数 / Khovanov homology / ラスムッセン不変量 / 符号数 / Lee's homology / Khovanov homological width / Turaev genus / braid theory |
Research Abstract |
私の研究対象は,結び目の交代化数である.私は研究計画に従い研究を遂行し,いくつかの結果を得た.最初に研究の背景を述べる. 結び目の交代化数とは,結び目の絡まり具合を表すものである.一般に,結び目の交代化数を決定することは難しい.交代化数の理論の重要な課題の一つは,交代化数の下からの評価を与えることである.私の第一の研究計画は「Khovanov homological widthと交代化数の関係の解明」であった. この研究計画の概説をする.Khovanov homology理論は,よく知られているようにdouble gradedなhomology理論である.二つ目のgradingは,量子gradingと呼ばれているもので,その役割はよくわかっていない.結び目のKhovanov homological widthとは,結び目のKhovanov homologyの量子gradingに関する複雑さを表す不変量である.私は,研究計画において結び目のKhovanov homological widthが,結び目の交代化数を下から評価すると予想した. 私は上記の予想を証明しようと試みたが,証明するには至らなかった.そこで,配布されているKhovanov homology計算ソフトを用いて予想の反例を探した.その結果,予想の反例を発見した.さらに,その反例を用いてKhovanov homological widthと交代化数の差が任意に大きいものを構成することに成功した.この結果,本質的にKhovanov homological widthと交代化数は無関係であるという予期せぬことがわかった.この研究成果を国内外の学会等で発表する予定である.今後は,残りの研究計画を計画通り遂行する予定である.
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