2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的環境アセスメントの運用上の効果とその条件に関する研究
Project/Area Number |
09J09314
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
多島 良 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 戦略的環境アセスメント / プログラム段階 / コンテクスト / カリフォルニア:イングランド / 都心部再開発 / 審査 / 市民参加 |
Research Abstract |
本研究は、戦略的環境アセスメント(SEA)の運用上の効果と、その効果をもたらす制度適用文脈(コンテクスト)を明らかにすることを目的としている。このために、既に研究が進んでいたカリフォルニア州のSEA制度(CEQA)と、類似の先進制度の特徴と効果を明らかにし、比較を行うことで、SEAの効果的運用のためのコンテクストを明らかにする。本年度は、論点の絞込み、分析対象の選定と、比較対象事例の分析を行った。 まず、既存文献のレビューと、CEQAの分析結果をもとに、比較の論点を絞り込んだ。結果、プログラム段階に適用されるSEAに分析対象を絞ることとし、比較論点として、事業部局とは独立した立場から審査を行う行政部局の存在、SEA以外の市民参加制度、コミュニティグループの存在が挙げられた。 続いて、実施計画において比較対象としていたニューヨーク州のSEA制度を分析した。結果、CEQAとの類似性が極めて高く、比較の意義が限定的であると示唆された。このため、比較対象制度を、(1)CEQAと同様にEIA型SEA制度であり、(2)運用経験が長く先進的であると考えられること、(3)米国とコンテクストが異なること、の3点を条件として再検討し、英国イングランドのSEA制度が選定された。 イングランドでは20団体に対してインタビュー調査を実施し、具体事例に対してどのような関心のもとにどのような関与があったのか、という点を中心にデータを収集することができた。現在までに実施した事例分析からは、イングランドにおける2つのSEA制度は、共に専門家(行政部局や専門性の高い市民団体)の関与を重視するという特徴を持ち、効果的な運用には、公衆参加を保証し、上位計画と下位計画の整合を強く求める都市計画制度の存在が重要であることが示唆されている。
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Research Products
(3 results)