2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的環境アセスメントの運用上の効果とその条件に関する研究
Project/Area Number |
09J09314
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
多島 良 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 戦略的環境アセスメント / プログラム段階 / コンテクスト / カリフォルニア / イングランド |
Research Abstract |
本研究は、戦略的環境アセスメント(SEA)の運用上の効果と、その効果をもたらす制度適用文脈(コンテクスト)を海外の先進SEA制度から明らかにし、日本においてSEAを実施する際に有用な知見を得ることを目的としている。本年度は、既に明らかにしたカリフォルニア州とイングランドにおけるSEA効果発現メカニズムの国際比較を行った。 まず、これまでの調査結果に基づき、日本のコンテクストにおいて適用可能性の高いと考えられる、意思決定のプログラム段階のSEAに絞り、枠組みを再構築した。続いて、国際比較のために、社会システム理論を参照しつつ、構造コンテクストと固有コンテクストという新たな概念を導入することにより、SEA制度とコンテクストの関係を体系的に整理する枠組みを構築することができた。この枠組みに基づき、昨年度実施した現地調査結果と新たに入手した資料を分析した結果、SEA制度の運用は、都市計画システムにおける社会経済影響配慮の仕組み、計画の正当性を説明する仕組みと関連することが明らかとなった。また、情報公開と司法審査に基づく公衆監視や、専門機関の助言に基づく国の介入など、外部主体の監視が働きうる仕組みが存在することと、都市計画制度に基づく公衆参加の仕組みの存在、さらに、意思決定に対する専門行政機関の実質的な影響力が、効果的なSEAが実施されるうえで重要であることが明らかとなった。 現在、環境影響評価法の改正により、SEAが法制化されることが見込まれている。本研究の結論は制度運用まで踏み込んだ知見であり、制度設計とともに今後運用が本格化する段階においても大いに参考となると考えられる。
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Research Products
(3 results)