2010 Fiscal Year Annual Research Report
海馬において記憶を制御するニューロステロイド合成系の研究
Project/Area Number |
09J09317
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
肥後 心平 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脳 / ステロイドホルモン / 性差 / 神経 / ニューロステロイド |
Research Abstract |
(1)脳内性ステロイド濃度の性周期変動と雌雄差 質量分析器を用いた脳内性ステロイド濃度測定法を確立した。この測定から得られた、女性ホルモンであるエストラジオールがメスではなくオスの海馬でかなり高いという結果はこれまでの常識を覆す発見であるといえる(Higo et al.,Endocrinology2009,Mukai et al.,BBA2010)。上記に加えメスの各性周期におけるテストステロン、エストロン、プロゲステロン濃度も測定が終了しており、特にエストロンとプロゲステロンにおいて明確な性周期変動が観察された。これらの結果を第33回日本神経科学大会でポスター発表し、結果をまとめた論文を投稿中である。 (2)生後発達期における脳内ステロイド合成系の動態解析 生後1、4、7、10、14日齢、4週齢および12週齢においてステロイド合成酵素群とその受容体を調査対象とし、網羅的発現解析をおこなった。過去には特定の酵素のみ、一部の期間のみを対象にした研究が散見されるのみであったが、すべての性ステロイド合成酵素およびその受容体を発達段階の広い期間で網羅的に調べた本研究は基礎研究として有用性が高い(Kimoto et al.,Endocrinology2010)。 (3)脳内コルチコステロイド合成系の研究 脳内コルチコステロイド合成系を対象にした研究もおこなった。プロゲステロン→デオキシコルチコステロン→コルチコステロンの合成経路を、発現解析、代謝実験、免疫組織化学およびin situ hybridizationにより調査した。その結果、海馬をはじめとする脳各部位にコルチコステロイド合成酵素が発現しており、実際の代謝能もあることが明らかになった。海馬での合成酵素発現は錐体神経細胞および顆粒神経細胞に局在していた。これらの研究結果をまとめた論文が現在PloS ONEにて審査中である。
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Research Products
(3 results)