2009 Fiscal Year Annual Research Report
シャーマニズムの現代的展開についての沖縄と韓国を事例とした比較宗教学的研究
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09J09350
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新里 喜宣 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 韓国 / 宗教 / 祖先 / 火葬 / シャーマニズム / 巫俗 / 死者儀礼 / 死生観 |
Research Abstract |
平成21年度は研究調査と資料収集に力を注いだ。その中でも特に、韓国と沖縄の祖先祭祀・死者儀礼の現状を把握し実態に迫る資料を収集するとともに、それを宗教学や社会学、または民俗学や文化人類学等がどのように分析しているかを捉えるため、二次資料の収集にもつとめた。 以上の調査から、韓国の祖先祭祀や死者儀礼は近年著しい変化を見せていることが明らかになり、その具体的な内容をつかむことができた。日本の宗教学や文化人類学においても韓国の祖先祭祀・死者儀礼の変化は指摘されているが、その具体像に踏み込んだ研究は未だ少ないと言わざるを得ない。私は長期間韓国に滞在することで、祖先祭祀・死者儀礼の変化が幾つかのバリエーションを見せていることを知ることができた。重要な点としては、韓国の死者儀礼はこれまで土葬や風葬主導であったのに対し現在は火葬中心になっていることや、病院で臨終を迎えるケースがたいへん増えてきていること、祖先祭祀が著しく簡素化されていること、死者儀礼において主要な役割を果たしてきたシャーマニズムが変容してきていることなどである。これらは、韓国人の死生観が以前とはだいぶ異なるものになりつつあることを示しており、宗教学的には看過できない問題といえる。そして、この現象は、沖縄においても現在進行形で起こっていることであり、それらの間にあるのは、先祖観のような伝統的な宗教観の変化であることを明らかにした。
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