2009 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波サイドバンド分離型バランスドミクサの開発
Project/Area Number |
09J09352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芹澤 靖隆 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バランスドミクサ / サイドバンド分離 / SISミクサ / ヘテロダインアレイ / ピクセル数 |
Research Abstract |
広帯域・低雑音・高サイドバンド分離比を併せ持つ、サブミリ波帯(385-500GHz)で動作可能なサイドバンド分離型バランスドSISミクサの開発を行ってきた。機械設計では、モジュラー型を採用して各コンポーネントを分離できるようにした。これにより、性能のよいコンポーネントだけを選出して用いることができるだけでなく、不具合があった場合、不具合箇所だけを交換することが可能になった。サイドバンド分離バランスドミクサの詳細な理論計算を行い、そこから各コンポーネントに必要な性能を求め、仕様として開発の指針とした。RF回路設計ではコンポーネントのサイズと電磁界損失を考慮して導波管型の回路でデザインしている。8ブランチ90度位相遅延+等分配結合器はRF帯に3つ必要であるためこれらは一体型として設計・製作し、顕微鏡による寸法測定の結果±5μm以内の加工誤差であることを確認している。また、雑音性能が揃っていて量子雑音限界の5倍以下、かつコンバージョンゲインの差が全てのRF周波数(385-500GHz)で2.5dB以内(仕様)に入る4つのミクサを選び出すことで、サイドバンド分離型バランスドSISミクサを構成した。その結果、SSB雑音温度は~200K(量子雑音限界の約10倍)、サイドバンド分離比~>10dBという世界最高レベルのサイドバンド分離型バランスドSISミクサの開発に成功した。開発したサイドバンド分離型バランスドSISミクサを天文観測で用いることによって、天体信号中の両サイドバンドを信号から分離してから受信することができる。また、サイドバンド分離型バランスドSISミクサを動作するのに要したL0電力は従来型ミクサに比べて、1/30程度であった。このことは、次世代の大規模ヘテロダインアレイ受信機においてピクセル数を~30倍程度にすることができる可能性を示唆している。
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Research Products
(2 results)