2010 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内分子進化法を用いた外部刺激応答性リボスイッチの開発と細胞への応用
Project/Area Number |
09J09361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 剛介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ribosome / translation / orthogonal / tRNA / aminoacylation / synthetic biology / biotechnology / ribozyme |
Research Abstract |
H22年度の交付申請書に示した通り、今年度は「人工リボスイッチの創成」と「改変型リボソームを用いたバイオテクノロジーの創成」という2つのテーマで研究を引き続き行った。しかし、我々の目指していた人工リボスイッチ創成に関する論文が先にアメリカのグループによって発表された(ref.Nat.chem.biol.6,464-470(2010))ため、このプロジェクトを断念して、改変型リボソームのプロジェクトに力を注いだ。このプロジェクトでは、天然のリボソームから構成される翻訳系とお互いに影響し合わない(つまり直交系)の翻訳系を改変型リボソームおよびトランスファーRNA(tRNA)を用いいることで創成し、20種類の必須アミノ酸以外の特殊アミノ酸を含むペプチドもしくはタンパク質を合成する新たな系の確立を最終目的とする。前年度までの研究で、アミノアシルリボザイムを用いることで、特殊アミノ酸を改変型リボソームに運ぶための改変型アミノアシル化tRNA(aa-tRNA)の作製に成功していた。そこで今年度は、1)この改変型aa-tRNAの天然型リボソームに対する挙動を調べ、2)これを受け入れるための改変型リボソームの創成に着手した。その結果、改変型aa-tRNAの3'末端配列、75Cの変異は極めてリボソームに対して不利になることが示された。また、C75の変異を補うような改変型リボソームを作製し、翻訳反応を行うと翻訳能が回復することが確認された。これは、リボソームとtRNAの分子間相互作用を翻訳反応レベルで解明した初めての結果であり、よりribosomeとtRNAから構成される翻訳という生命にとって普遍的な反応の理解を深めるのに貢献すると考えられる。
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Research Products
(4 results)