2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09366
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 屈折率 / アッベ数 / 高分子 / レンズ材料 / 硫黄 / チオール |
Research Abstract |
高屈折率ポリマーを眼鏡などのレンズとして用いる場合、高屈折率だけではなく、色収差の程度を表すアッベ数が大きいことも重要となってくる。有機物において、屈折率とアッベ数はトレードオフの関係にあり、それらを同時に高めることは困難であり、またそれを目指した研究は極めて少ない。当研究室では、酸化数の異なる硫黄元素を同時に利用することにより、高屈折率・高アッベ数のポリチオエーテルスルホンを開発することに成功した。本研究は、そのポリマーの欠点であった耐熱性を改善するとともに、新たな高屈折率材料の開発を目的としている。 本年度の研究では新たに2種類のジチオールモノマーを合成し、市販のビスビニルスルホニル化合物との重合を行った。また、それらのジチオールモノマーを同時に用い、それらの比を変えることにより、共重合体の合成も行った。得られたポリマーの熱特性・光特性の評価を行ったところ、耐熱性が大きく改善され、高屈折率・高アッベ数を持つポリマーであることが分かった。以前に開発したポリマーは約150℃の加熱で着色してしまう(射出成型に耐えられない)のに対し、今回のポリマーは200℃での加熱でも着色が見られなかった。一方で、光特性に関して、高屈折率・高アッベ数を示す指標の一つに、それぞれ1.6,50が挙げられるが、今回のポリマーの一つはそれらを同時に満たす唯一の例となった。
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