2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素結合切断を鍵とする触媒的二酸化炭素固定化反応
Project/Area Number |
09J09394
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
只見 聡 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | アシルシラン / 光異性化 / シロキシカルベン / ピリジニウムイリド / [3+2]付加環化 |
Research Abstract |
筆者の所属する研究室ではこれまでにアシルシランの光異性化により生じるシロキシカルベンとホウ酸エステルとのカップリング反応を開発していた。この反応は遷移金属触媒を用いることなく、両反応基質に対し室温下光照射を行うだけでカップリング生成物であるケトン体を与える、有機合成化学的に有用な反応である。しかし、このシロキシカルベンの反応は現在までに報告されている例はほとんどが求電子剤に付加する求核的な反応であり、有機合成的にシロキシカルベンを求電子剤として用い炭素-炭素結合形成反応に利用した例は存在しない。そこで著者は今年度、このシロキシカルベンを求電子的に用いる反応の開発を目指し、検討を行った。 唯一シロキシカルベンの求電子的反応を観測しているPlatzらの報告を参考に、求核剤としてピリジンを選択した。このピリジンとシロキシカルベンから生じると考えられるピリジニウムイリドに対し、フマル酸ジメチルエステルを反応系に加え、光照射下反応を行ったところ、想定していた[3+2]付加環化体から開環反応が進行した3成分カップリング体が得られることを見出した。さらにこの反応がピリジニウムイリド経由で進行していることを確認することを目的に、環化中間体を安定に得ることのできる基質の探索を行った。その結果、ピリジンに代わりキノリンを用いて反応を行なうと、環化中間体が安定化され、単離を行うことができ、さらにその構造をX線結晶構造解析により確定することができた。これによりシロキシカルベンが求電子的に反応していることが強く支持され、アシルシランの求電子的性質を利用する新たな形式での反応を実現することができた。
|
Research Products
(1 results)