2010 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスによるムチン抗原遺伝子発現機構の解明
Project/Area Number |
09J09447
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山田 宗茂 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Mucin / Epigenetics / DNA methylation / Hsstone modification / MassARRAY / ChIP assay |
Research Abstract |
今年度は、これまで明らかにしてきた膵胆管系腫瘍における「ムチン発現プロファイル」と「DNAメチル化状況」を複合的に評価することで、早期診断、さらには明確な治療戦略の提供を可能とする診断システムの構築を目標に掲げて研究を遂行してきた。同時に、さらに正確な診断の実現を可能とするために、膵胆管系腫瘍において異常高発現を示すと報告されているMUC3やMUC16,MUC17に関してのエピジェネティクス制御機構の解明を上記のテーマと平行して行った。 ・MUC3、MUC16、MUC17発現機構の解析:肺癌・乳癌・膵癌・大腸癌細胞株の中から、MUC3、MUC16、MUC17陽性・陰性細胞株を各々用いて、それぞれの細胞株に対する各ムチン遺伝子プロモーター全領域のシークエンシングを行い、その配列を元に質量分析によるDNAメチル化定量解析法を用いてDNAメチル化状態を検討した。さらにMUC3とMUC17において、ヒストン修飾状況と遺伝子発現の関係を調べるためにChIPを行った。今回の一連の発現解析において、1)MUC3は遺伝子転写開始付近におけるDNAメチル化により制御されていることが明らかとなった。2)MUC16は、5-AzadCやヒストン脱アセチル化阻害剤TSA処理により大幅に遺伝子量が回復するものの、直接的なエピジェネティクス制御機構の関与は認められなかった。3)MUC17に関しては、転写開始付近において、DNAメチル化だけでなく、ヒストンH3リジン9の化学修飾によっても制御されている可能性が明らかとなった。 ・臨床病理検体を用いたムチン遺伝子発現とエピジェネティクス変化の比較検討:ごく最近、従来までのDNAメチル化検出限界5%を超える0.1%の感度を有し、安価でパターン解析にも優れた新規メチル化検出法の開発に成功し、臨床病理検体を用いて各ムチンの遺伝子発現過程におけるDNAメチル化のより詳細な解析を行えるようになった。
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Research Products
(4 results)