2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 走 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重力波 / 量子雑音 / スクイーズド光 |
Research Abstract |
本年度は重力に対する基礎的研究として、nmスケールにおける重力法則の検証に関する実験を行った。 nmスケールの実験系としては、Yb2分子の弱い結合状態を使用した。分子の結合エネルギーは分子間ポテンシャルによって決定されるため、これを測定することで分子間の重力を含むポテンシャルを決定することができる。 分子間距離のような小さな距離領域で働く力はほぼCoulomb力で記述されるが、短距離における重力法則がNewtonの重力法則から10^22程度ずれていればCoulonb力からのずれが観測できると考えられる。逆に、実験によってNewton則からのずれが観測できなければ、Newton則は10^22の範囲で正しいということが言える。 Yb2分子の結合エネルギーの測定には2光子光会合という技術を用いた。低温の原子ガスに対して原子の共鳴周波数に対応した周波数の光と、分子の結合エネルギーに対応した周波数差を持つ光の2本の光を照射すると、原子から分子が生成される。従って、2本の光の周波数差をスイープしつつ原子数を測定すると、周波数差が結合エネルギーと一致した際に原子数が減少するスペクトルを得ることができる。この方法では光の周波数差(100MHz程度)のコントロールがもっとも致命的なノイズ要因となるが、これを低減することはGPSを利用した精密発振器を使用すれば容易である。一般にレーザーの絶対周波数を精密にコントロールすることは困難であるが、この研究においてはこれは大きな問題とならないことが強みである。 原子間のポテンシャルには既に評価の定まったモデルが存在し、このモデルには4つのフィッティングパラメータが存在する。本年度は実験的に6つのデータを取得することに成功し、その詳細な解析と誤差補正に成功した。
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Research Products
(1 results)