2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子認識ゲート膜を用いた新規バイオセンシングシステムの開発
Project/Area Number |
09J09461
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒木 秀記 東京工業大学, 資源化学研究所, 特別研究員PD
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Keywords | 膜 / 細孔 / ゲート / 分子認識 / グラフトポリマー / 金ナノ粒子 / 相分離 / バイオセンサー |
Research Abstract |
本研究は、次世代のバイオセンシングシステムの構築を目指し、生体分子シグナルに応答する生体分子認識ゲート膜の開発を目的に行った。生体分子認識ゲート膜は、多孔基材の細孔内部に体積相転移素子と生体分子認識素子の両方の機能を有するグラフトポリマーを固定した多孔膜である。本ゲート膜は、微細孔内で特定の生体分子による架橋結合と刺激応答ポリマーの体積相転移を利用した新規ゲートシステムで機能し、生体分子シグナルを細孔開閉に変換する新たなセンサー材料である。本研究は、プラズマグラフト重合法、"grafting from"法によって、温度応答性と生体分子認識素子を有するグラフトポリマーを細孔表面に固定化した生体分子認識ゲート膜の作製を行い、低濃度の生体分子シグナルに応答し、選択的に細孔開閉を制御することに成功した。さらに、着色物質であるPEGコート金ナノ粒子の生体認識ゲート膜に対する透過性を評価し、低濃度の生体分子シグナルを選択的に透過液の色の変化といった視覚情報に変換が可能であることを示した。これにより、Point-of -care検査のように、簡便且つ迅速に生体分子を検出する新たなバイオセンサーとしての応用が期待されることが示唆された。続いて、更なる発展を目指し、液一液相分離法によって、多孔薄膜を作製した。薄膜化により、高速且つ高感度に生体分子シグナルを検出されることが予想される。また、細孔サイズは作製条件によって、0.05-1μmの範囲で調整でき、生体分子の種類によって膜構造を設計することが可能である。さらに、"grafting to"法によるグラフトポリマーの固定化手法を確立した。以上の知見から、細孔構造やグラフトポリマーをミクロな視点から構造最適化することで、生体分子認識ゲート膜は有効なセンサー材料として、医療・食品管理・環境保全といった多様な分野で応用可能であると考えられる。
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Research Products
(1 results)