2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J09462
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 暁子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国産品 / 流通政策 / 天保期 / 会津藩 |
Research Abstract |
平成22年度は、地方城下町の社会構造を、流通政策を切り口に研究した,本年度は、フィールドを会津若松に絞り、町役人の家に残された「御国産一件」に関する一連の史料を分析した。そして、天保期に会津藩で議論された国産品政策の動向について解明した。以下、明らかになった点を述べる。 (1)会津藩では近世初頭から藩の強権的介在の下、塗り物の生産が積極的に行われていたが、天保期には藩外、特に江戸への出荷量が激減した。そのため、当該期に会津藩で国産品政策を巡る議論が行われることになる。 (2)「抜け荷」と呼ばれる不良品の出荷を差し止めるため出荷先を江戸に限定したいど主張する江戸藩邸側の担当役人-産物会所経営請負人と、生産量増大を計るため出荷先を限定せず全国各地に売り込みたい在藩の担当役人-町役人という対立構造が見て取れる。 (3)しかし、両者とも、江戸の産物会所は"国産品を賑売する国元の商人が逗留する宿"と認識している。 従来、産物会所=藩が主導して国産品を一手に売りさばく機関、との認識が一般的であったが、(3)に見るように"商人の宿"として第一義的に存在する産物会所の事例として希有なケースを明らかにしえた。
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Research Products
(2 results)