2009 Fiscal Year Annual Research Report
電子線励起フラーレン重合反応に基づく新しいトポロジカルナノカーボンの創製
Project/Area Number |
09J09489
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高嶋 明人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 1次元金属 / フラーレンポリマー / in situ赤外分光 / 密度汎関数法 / GAUSSIAN |
Research Abstract |
今年度は、1.加速電圧3kV-10kV可変可能な電子銃を用い、以前の電子銃と同じ赤外スペクトルが観測出来るかどうかを確認する。観測出来た場合は、加速電圧を3-10kVまで1kV刻みで変化させ、それぞれについて赤外スペクトルを観測し、新たなトポロジカルナノカーボンが生成したかどうかを確認する、2.確認が取れた場合、より精密なIRスペクトルを観測し、既に計算されている複数のStone-Wales転移による構造異性体の理論スペクトルと比較し、どのような構造を持つフラーレンポリマーが生成したのかを明らかにする、ことを目的として研究を実施した。 1.本研究では、一次元ピーナッツ型フラーレンポリマーの金属的な電子状態の起源を調べる為に、まず先の構造異性体全ての電子状態について研究を行った。その結果、構造異性体内に存在する7員環は全て正の有効電荷を持ち、8員環は全て負の有効電荷を持つことが分かった。また、P20の様にHOMO-LUMO gapの小さな構造異性体では、7員環が複数隣り合うことで分極が生じ、負の有効電荷にHOMOの空間分布が、正の有効電荷にLUMOの空間分布が対応することによって大きな電子相関効果が生まれ、HOMOのエネルギーレベルが高くなることが分かった。 2.本研究では同時に、加速電圧3-10kV可変可能な電子銃を用いて赤外スペクトルが良好な再現性を得られることを確認した。続いて基板温度を60.0Kまで冷却してより精密なIRスペクトルの観測を行った。また、先に挙げた複数のC_<120>構造異性体全てについて、計算された理論スペクトルから節面構造に由来する振動モードのみを抽出した理論スペクトルを作成し、実験によって観測されたIRスペクトルとその理論スペクトルをそれぞれ比較して、フラーレンポリマーの構造について検討を行った。この結果、P08という構造異性体の節面構造に由来する振動モードのみを抽出した理論スペクトルが、実験スペクトルをよく説明することがわかった。
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Research Products
(5 results)