2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンベロープの重元素量の起源とコア質量から木星・土星の形成過程の解明
Project/Area Number |
09J09495
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀 安範 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 木星・土星(巨大ガス惑星) / 惑星形成 / エンベロープの重元素量 / コア質量 / 微惑星集積 / コア集積モデル / 暴走ガス捕獲 |
Research Abstract |
木星はガス成分領域の「エンベロープ」と「固体コア」の中心核から構成されている。この木星内部は非常に高圧・高温下にある。水素を主たる成分とするガス惑星である木星の内部構造、とりわけ固体コアの大きさを明らかにする上では、高圧・高温下にある水素の物性が重要な鍵を握っている。これまでに複数の理論モデル(水素の状態方程式)が提唱されているが、そのいずれが正しいのか決着はついていない。そこで、私は共同プロジェクトとして、3年前から大阪大学で水素のレーザー衝撃圧縮実験に取り組んでいる。今年度は世界最高圧力(50GPa)での水素の圧縮実験に成功した。この実験結果は、現在、複数存在する理論モデルの妥当性を議論する上で貴重な指標となる。この実験成果については現在、専門雑誌に投稿中である。今後は200GPaを目標とし、状態方程式モデルの決定に繋げたいと考えている。 次に、木星の形成に関する研究について。木星形成の標準シナリオ(コア集積モデルと呼ばれる)によると、木星の固体コアがある臨界質量に到達した時、現在まとっているような多量のガスを短期間のうちに捕獲したと考えられている。この段階は「暴走ガス捕獲」と呼ばれている。これまでの先行研究では、木星の固体コアの成長に焦点を当てた研究がなされて来ており、暴走ガス捕獲段階でどのようにエンベロープが成長していくかについては調べられていない。そこで、本研究では、この最終ステージ、暴走ガス捕獲段階でのエンベロープの成長を系統的に調べた。これによって、エンベロープの成長は状態方程式にはほとんど依らず、オパシティ(質量吸収係数)と惑星の外縁半径に強く影響を受けることが分かった。暴走ガス捕獲段階のエンベロープの成長が明らかになったことで、現在木星のエンベロープに含まれている重元素量の起源を解明できる可能性がある。暴走ガス捕獲段階に降着した微惑星が重元素の起源とされているが、エどの程度、実際に微惑星が降着したのかをエンベロープの成長によって決まるからである。今後は降着した微惑星量の評価を行い、重元素量の起源問題を解決したいと考えている。
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Research Products
(5 results)